正義感の目隠しんどろーむ

流れ作業になっていやしないか、一歩踏みとどまって考える事を忘れていないか。

つい先日、中国共産党のこっ酷い振る舞いを漫画にしたものがあることを知った。人権などあったものではなく、拷問による洗脳の実態を主に伝える内容で、その漫画の中の主人公の男性は去勢をされた上でなんとか命からがら解放されて故郷へ帰るのだが、そこで待っていた妻は中国共産党の軍人にレイプされて子供を身籠っており、結局その主人公は耐え切れず投身自殺をしてしまうという痛々しい内容だ。私はこの漫画を読んで、気持ちがしいんとなってしまった。中国共産党の洗脳手口について知ったのは初めてではないが、漫画で読んだらとても辛くて何かすぐに言葉が出てこなかった。

次に私は違和感を感じた。その漫画をひとりでも多くの人々に読んでもらおうという事で、フェイスブックではシェアします!グッジョブ!これは良い方法ですね!中国共産党を絶対に許さん!などといった具合で盛り上がっていた。もちろんこの漫画自体、こういった事実を拡散するために制作されたものである事は明らかで、それを読んだ人々の行動は全く間違っていない。それなのに、何か違和感を感じてしまって私はシェアできなかった。せっかく描いて下さった人の期待に応えられず申し訳ない。

この違和感は一体なんだろうと数日間考えたが良くわからない。中国共産党のやり方が人道から越脱している事は明々白々であるし、今現在も犠牲になっている人々がいることを全く知らない人がいたとしたら知ってもらったほうが良いに決まっているのだが、世間に知ってもらうという事と、この問題を解決するという事がきちんと一本の線で結ばれるのかどうか、私には確信が持てない。まさか国際連合人権委員会などの機関がこの実態を全く把握していないとは考えにくい。しかし、誰も手を出せないでいる。

つまり、知るべき人々、知っていたら何か実行に移すことのできる人々は、既に知っているのに事が動かない現実の前で、例えばご近所さんたちがこの事実を知って酷いわね!許せないわ!と言い出したところで一体何か意味があるんだろうか。人それぞれ個人差はあろうが、お母さんたちは国際社会での人権のことなどつゆ知らず、子育てなどに奔走していてもらっても全く構わないのではないか。社会の現実を知らないことが罪で情弱でそんなことだから世の中が良くならないのだと言いたがる人も多々いると思いますが、私は必ずしもそんなことは無いような気がします。もちろん、自分たちの社会や国のことを自分のこととして真剣に考えて勤勉でいられる人がひとりでも多ければ心強いですが、みんなが皆そうしなくても人それぞれ、やるべきことややれることが違うとも思います。

それよりももっと気になるのは、こんなに誰が見ても悲劇でしかないストーリーをひとつのツールと捉えて躊躇なく公の場で晒す行為にデリカシーが欠けているのではないかということです。人々の捉え方というのは千差万別ですから、中国共産党の現実を知っていようがいまいが、それを見て不快に感じたり悲しみのあまり気が滅入ってしまったりする人もいると思うのですが、正義感が目隠しをして、自分の行動は全く間違っていないしこれに興味や理解を示さなければいけませんといったような空気を私は、少し感じてしまった。私は自分の事を特に繊細なメンタリティの持ち主だとは思っていないしむしろ合理的と言うか、現実的と言うか、それはそれこれはこれといったような姿勢でいる事の方が多いのですが、漫画そのものを制作した方の意図は素晴らしいと思うことを改めて述べつつも、おいそれと誰にでもおすすめできる漫画ではない事も否めない。

人の痛みを本当に感じようとしているのかどうか、そして本気で問題を解決するために考えたり行動したりできているのかどうか、自分自身にも今一度問い直したいと感じたのでした。すめらぎいやさか。